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小児科一般解説・その他

発熱することは危険?

カゼをひいたとき、発熱はなぜ起こるのでしょうか。
「ウイルスが身体の中で悪さをして、発熱を起こす。発熱はウイルスや細菌の悪さの結果」と思われていることが多いのですが、実際は少し違います。

発熱は「ヒトがウイルスから身体を守るために、体温を上げて防御している」という状態です。

ウイルスは種類にもよりますが、だいたい35℃~37℃くらいの環境を最も好み、この温度帯で一番速く増殖します。

また、自然免疫で活躍するような白血球は、37~38℃くらいで最もよく働くと言われています。

そのため、ヒトはウイルスが侵入・感染してきたとき、体温を上げて対抗します。体温を37℃よりも高くすればウイルスの増殖を鈍らせ、白血球の働きを助けることができるからです。つまり発熱は、防御の手段なのです。

なので、たとえ体温が40℃以上であっても、「40℃以上の高い発熱だから怖い」わけではありません。脳症を伴わない突発性発疹での熱や、いわゆる普通の風邪によるものでは40℃以上でも怖くありません。

「40℃以上の発熱の時は、普通の風邪ではない、他の怖い病気(脳炎・脳症・髄膜炎・川崎病・尿路感染症・敗血症など)の可能性があるから怖い」ということです。

だから、私たち小児科医は「40℃以上の発熱です。」と言われてもそれほど怖がりません。しかし「ぐったりして元気がないのです。」と言われると、体温が38℃そこそこであっても、とても怖がります。「元気がない」時には、怖い病気が隠れている可能性が高いからです。

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