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Hibワクチンについて

Hibワクチン(アクトヒブ®)

  • 不活化ワクチン。
  • 生後2か月より接種可。定期接種・任意接種とも5歳未満。
  • 初回免疫はそれぞれ4週以上の間隔をあけて3回注射。間隔に法的な上限はないが、標準的には8週以内。細菌性髄膜炎は生後6~7か月から特に多くなるため、できるだけ早く初回免疫(3回目まで)を完了したい。3回目の接種から7か月以上の間隔をあけて追加免疫として1回注射。追加は早めの方が良い(初回免疫3回目の接種から12か月の時点で、既に免疫が下がっている場合があるとの報告あり)。生後7か月を超えて初回免疫を開始する場合は、開始の月齢により接種回数が減らされる。
  • Hibワクチン接種後、他のワクチンを接種する場合の制限はなく、同日からでも接種できる。
  • 5歳未満は定期接種(公費負担)。

解説

脳や脊髄を包んでいる膜を髄膜といいます。この膜にウイルスや細菌が感染して炎症を起こす病気が髄膜炎です。このうち、特に細菌性髄膜炎は治療中の経過が悪く、命を落としたり後遺症が残ることが多い病気です。上気道炎や中耳炎から進行したり、初期症状が発熱、嘔吐、けいれんなどで風邪などのほかの病気の症状と似ているため、早期に診断することがとても難しい病気です。
乳幼児に細菌性髄膜炎を起こす細菌はいくつもありますが、以前(Hibワクチンが定期接種になる前)その原因の半分以上を占めていたのがインフルエンザ菌b型(Haemophilus infuluenzae type b:略してHib)です。このHibの感染を予防するのがHibワクチンです。
髄膜炎を含むHibの感染症は冬に流行する病気であるインフルエンザ(風邪のような症状の高熱が出る病気で、タミフルなどの薬が効く)とはまったく別のものです(インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症です。インフルエンザ菌による感染症ではありません。)。したがって冬場に行うインフルエンザの予防接種(インフルエンザHAワクチン)では予防できません。また、他の多くの細菌やウイルスとは異なり、Hibは乳幼児に感染しても抗体(免疫)ができず、繰り返し感染することがあります。
Hib髄膜炎にかかると、入院と抗生物質による治療を行いますが、治療を受けても約5%が死亡し、約25%に知能障害、聴力障害、てんかんなどの後遺症が残ります。さらに最近では抗生物質の効きにくい菌(耐性菌)も増えてきており、治療が困難になってきています。Hibワクチンが定期接種になって激減しましたが、インフルエンザ菌は普通に存在する菌ですので、今でもワクチン接種は重要です。