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昨シーズン流行しなかったインフルエンザのワクチンを、今年も接種すべきか?

昨シーズン(2020-2021シーズン)は、インフルエンザが全く流行りませんでした。当院では発熱のお子さんたちに積極的に検査をしておりましたが、一人も感染者が確認されませんでした。

新型コロナウイルス感染症の関係で、昨年はインフルエンザの検査をしない医療機関も多かったため、一概に以前との比較はできませんが、藤沢市全体のサーベイランスを見ても、感染者はほとんどいませんでした。

ならば、今シーズンも流行しないかもしれないので、インフルエンザワクチンを接種しなくて良いでしょうか?

結論からお話しすると、流行しなかったからこそ接種したほうが良いと思います。

なぜでしょう?

昨シーズン、インフルエンザが全く流行らなかったということは、ワクチンを接種した人以外、インフルエンザの抗体を獲得した人はいなかったということです。

昨シーズンだけだったらまだ良いですが、今シーズン、来シーズンと、皆が今のような手洗い・マスクで感染防御し、インフルエンザがずっと流行らなかったら(それは本来良い事なのですが)…しかも、皆がワクチンを接種しなかったら…、私たちは徐々にインフルエンザに対する抗体を失い、季節性インフルエンザウイルス(いわゆる普通のインフルエンザウイルス)が、あたかも新型インフルエンザと同じような振る舞いをすることになります。

インフルエンザを流行させた方が良いと言っているのではありません。インフルエンザが流行しない時こそ、多くの人がワクチンを接種し、抗体を獲得しておくことが大事になるのです。

もしも、今流行している新型コロナウイルスが日本へ入ってくる前にワクチンが作られ、皆が接種していたら、今回のコロナウイルス感染症はどうなっていたでしょう。高齢者へのワクチン接種がほぼ終わった頃から、高齢者の重症者は激減し、感染者数も激減したことを考えると、ウイルスが日本へ入る前に皆がワクチンを接種していたら(つまり、多くの人が抗体を持っていたら)今回のような感染爆発→医療崩壊は起きなかったでしょう(政府やニュースは混乱を避けるため はっきりとは言いませんが、入院すべき人が入院できなくなったのは、明らかな医療崩壊です。肺炎の患者さんに酸素濃縮器を貸し出して自宅で看るなんて…考えられません)。

今年8月から新型コロナウイルスで医療が崩壊したのは、致死率が高い(ウイルスの毒性が強い)からではありません。感染力が強いのと、皆が抗体を持っていなかったために、感染者が爆発的に増加したからです。だからこそ今、ワクチンをほとんど接種した高齢者の重症者は激減し、医療体制が元に戻りつつあるのです。たとえ通常のインフルエンザウイルスでも、皆が抗体を持っておらず、一時期に多数の人が罹患すれば、医療や社会は崩壊します。インフルエンザウイルスには治療薬がありますが、新型コロナウイルス感染の第5波のように多数の人が一度に罹患すれば足りなくなるでしょう。ICUベッドや人工呼吸器も同様です。

だから、昨年流行しなかった今年こそ(今年も流行らなければ来年以降も)、インフルエンザワクチン接種が大事になると思います。

アメリカでは今年の春から既に危機感を募らせ、ワクチンの増産を行っていたようです。私が「アメリカ政府やCDCが今年のインフルエンザの大流行を警戒している」と聞いたのは梅雨前です。

今年流行すると予想されたインフルエンザの株は培養がしにくいらしく、ワクチンの生産量が、多くても昨シーズンの8割くらいになりそうです。需要が多ければ、インフルエンザは足りなくなります。現時点ではまだワクチンがありますから早めの予約をお勧めします。