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ワクチン

ロタワクチンについて

ロタワクチン(以下“ロタ”と省略。当院では通常 1価のロタリックス®を使用。)
(特に希望がある場合や、以前5価のワクチンを投与されている場合は5価を使用。使用法は下記とは異なる。)

  • 経口の生ワクチン。
  • 生後6週0日~14週6日で1回目を投与。その後4週以上の間をあけて、かつ生後24週0日(生後168日目)までに2回目を投与(1価の場合)。
  • ロタワクチン接種後、他のワクチンを接種する場合の制限はなく、同日からでも接種できる。
  • 腸重積の既往がある場合や先天的な腸の病気がある人は接種不可。血便の既往がある場合や血縁者に免疫不全の患者がいる場合は医師と相談。
  • 定期接種(公費負担)。

解説

ロタウイルス感染症

ロタウイルスは、消化管に感染し、胃腸炎を起こします。他にもノロ・アデノ・アストロ・エンテロなど、胃腸炎を起こすウイルスは多数ありますが、それらにも増して、ロタはひどい脱水を起こします。

特に発展途上国ではロタウイルス感染症で多数の命が失われます。

また、ロタウイルスは脳炎・脳症を起こしやすいウイルスで、日本ではインフルエンザ、突発性発疹に次いで、第三位です。

ロタウイルスによる脳炎・脳症は、インフルエンザ脳症よりも数は少ないですが、予後はインフルエンザ脳症よりもさらに悪くなります。

ワクチンの特徴

ロタワクチンは、ロタウイルス感染による胃腸炎に対して、重症化を防ぐためのワクチンです。2回接種するロタリックスと、3回接種するロタテックがあります。どちらも理論的に一長一短ですが、少なくとも現時点で効果の違いははっきりしていません。

当院では、特にご希望があったり、以前ロタテックを接種しているなどがなければ、2回接種のロタリックスを用いています。

ロタウイルスは、2歳児で調べると、80%くらいのお子さんで以前に感染した痕跡がみられます。5歳児で調べると95%以上になります。つまり、ほとんどのお子さんが感染するウイルスです。

一人のお子さんが、何度も何度も感染を繰り返しますが、3回目以降の感染では重症化(入院を必要とする状態になること)しなくなることが分かっています。

ロタワクチンを接種しても、ロタウイルスの感染を完全に防ぐことはできませんが、本物のロタウイルスに感染する前にワクチンを2回接種する(ロタワクチンのウイルスに感染させる)ことにより、ワクチン完了後に本物のロタワクチンが感染した時には3回目の感染となるため、重症化することはほとんどありません。研究により少しバラつきはありますが、重症化の阻止率はおおむね90%以上になります。

気を付けなくてはならないのは、腸重積という病気を起こす率が少しだけ上がるということです。10万人に対し、1~2人と非常にわずかですが上がります。

腸重積は命にもかかわるような重篤な病気ではありますが、早く発見して治療すれば、ほとんど手術するようなことにはなりません。

はじめて接種なさる際には、どのようなことに注意していたらよいかをご説明いたします。

ロタワクチンはWHOが「子供たち全員に接種したほうが良い」と推奨するワクチンです。もちろん、腸重積のリスクを少し上げることはわかっていますが、WHOでは「リスクより利益が大きく上回る」と判断しています。